一、〈煮〉―「和菓子屋のあの子」
幼い頃から、餡子あんこの匂いが好きだった。 自室にいても、家のどこにいても、ふと鼻をくすぐるのは、手作りの餡子の香り。これが、我が家の匂いだった。 饅頭を蒸す蒸し器や、豆を煮込む大きな鍋が、早朝から休むことなく働く我…
歴史と映画と、小説と、ときどき行政書士。
幼い頃から、餡子あんこの匂いが好きだった。 自室にいても、家のどこにいても、ふと鼻をくすぐるのは、手作りの餡子の香り。これが、我が家の匂いだった。 饅頭を蒸す蒸し器や、豆を煮込む大きな鍋が、早朝から休むことなく働く我…