映画『沈黙の艦隊北極海大海戦』感想綴

映画『沈黙の艦隊北極海大海戦』観てきました)^o^(

ドラマ版『沈黙の艦隊』は配信が始まるやいなや、面白すぎて一日で一気見。
その後も何度か繰り返し再生するほど、どハマりしていました(\) 笑

(2026年4月2日追記:↑映画版もアマプラにて全世界配信が始まっています!)

数年前から自衛隊にも興味を持つようになった私にとって、大沢たかおさん主演 × 自衛隊の『沈黙の艦隊』はまさに、”大好き”が詰まった作品!
第二部の映画化が発表されてからは、上映日をずっとソワソワしながら待っていました。

この日は平日のお昼だったからか、めちゃくちゃ良い席でほぼ独占して観ることができました!


(※以下、私的解釈とネタバレを多く含みますので注意です)



独立国やまとの新たなる敵・ベイツ兄弟


主人公・海江田(演:大沢たかおさん)率いる原子力潜水艦〈独立国やまと〉は、
前作ドラマ版で描かれた東京湾での戦いを終え、日本の竹上首相(演:笹野高史さん)の依頼、そしてアメリカのベネット大統領との約束を果たすため、
国連会議出席を目指してベーリング海経由でニューヨークへ向かっていました。

しかし、やまとをテロリストと認定したアメリカが、海江田たちを受け入れるはずがありません。
ドラマ版最終話では「ウェルカム」と語っていたベネット大統領でしたが、
その裏ではすでに〈やまと〉鎮圧作戦が進行していました。本作では緊急声明で、「テロリスト〈やまと〉を沈める」と宣言します。

東京湾は日本の海域だったため、アメリカはあの戦いをこれ以上拡大することはできませんでした。
しかし今回の戦場は、ロシアとアメリカに接するベーリング海です。

アメリカは、たとえロシアへ原子力潜水艦の情報が渡る危険を冒してでも、何としても〈やまと〉を沈めようとします。

そこで投入されたのが、アメリカ海軍の切り札ともいえる天才・ベイツ兄弟でした。

一見、1隻しかいないように見えたアメリカ側の最新鋭原子力潜水艦ですが、
実際には、この兄弟の巧みな戦術によって、〈やまと〉は2隻の原子力潜水艦に挟まれ、翻弄されていきます。

そんな天才ベイツ兄弟ですが、実は弟・ジョンは孤児で、ベイツ家の養子として迎えられたため、兄・ノーマンとは血のつながりがありません。

ジョンは幼い頃、養子である自分に引け目を感じていましたが、ノーマンはそんな彼を本当の弟として受け入れていました。
その姿からは、ジョンが兄に深く感謝し、心から信頼していることが伝わってきます。

ジョンにとって兄の存在は、まさに希望そのものだったのでしょう。

ジョンは終始兄を支え、見事な連携で兄が乗る「キング」を守り抜きます。

 

北極海水面下での静かな戦い

しかし、海江田の天才的な技術を前に、
弟は次第に兄を守りきれず、ついに魚雷が被弾。

開戦前、ジョンは「ベーリング海の凍える海で沈んでもらう」と口にしていました。
しかしその言葉が返ってきたのは〈やまと〉ではなく、最愛の兄・ノーマンが乗るキングでした。

私は正直、途中まで「いけ! アメリカを倒せ!」という気持ちで観ていました。
しかし、キングが被弾し、乗組員全員の命が失われることが分かった瞬間、自分の不謹慎さに胸が締め付けられました。

平和を願っているはずの私自身が、いつの間にかスポーツ観戦のように戦いの勝敗を応援してしまっていたのです。
きっと、私と同じような感覚になった方も少なくなかったのではないでしょうか。

「こちらの正義に刃向かう者=悪」ではありません。
相手にも、相手なりの正義がある。
このシーンは、そんな戦争の本質を改めて突きつけてきたように感じました。

やがてキングは沈没し、水圧によって静かに圧壊していきます。
最後の探知音が響いた瞬間、私は涙が止まりませんでした。

戦争とは、勝敗の先に必ず誰かの命が失われるもの。
そんな当たり前の事実を、改めて思い知らされた場面でもありました。

そして、この作品が印象的だったのは、二人の指揮官のあり方です。
ベネット大統領は安全な場所から国家を動かし、海江田は最前線で乗組員たちと運命を共にしている。

どちらも「指揮官」ですが、その責任の背負い方はまったく違います。
この対比が、本作の大きな見どころの一つだと感じました。

兄を失ったジョンは、乗組員たちから「まだ戦える」と訴えられます。
それでも彼は、兄から託された仲間たちの命を守ることを選び、〈やまと〉へ降伏しました。

この場面を見て、私はドラマ版で護衛艦「はるさめ」が撃沈され、隊員たちが「仇を討ちたい」と訴えていた場面を思い出しました。

家族や仲間を失えば、報復したくなる。
その気持ちは決して理解できないものではありません。

けれど、互いに報復を繰り返していては、戦争は終わりません。
負の連鎖は、どこかで断ち切らなければならない。
ジョンの決断は、そのことを静かに教えてくれたように思います。

遠き日の思い出

弟・ジョンの回想では、平和だった幼い頃の思い出が繰り返し描かれます。

今も大切にしている手作りのルアーをくれた、
血のつながりはなくとも誰よりも尊敬する兄・ノーマン。

幼い頃の二人は、ただ川釣りを楽しみ、穏やかな兄弟の時間を過ごしていただけでした。

そして、その願いは大人になっても変わらなかったはずです。

本当は戦争など望んでいなかった。
まして、自分たちが命を落とすことなど考えてもいなかったでしょう。

それでも、代々アメリカ海軍に仕えてきた一家に育った二人は、その使命を背負い、
戦場へ向かわざるを得ませんでした。

戦争は、人の命だけではありません。
家族と過ごす何気ない日常や、兄弟で笑い合った尊い時間までも奪ってしまう。
ジョンの回想は、そのことを静かに物語っていたように思います。

こうして北極海での戦いは、〈やまと〉の勝利という形で幕を閉じました。

 

荒れながらも、一つとなっていく日本国内

一方、日本では竹上内閣が解散総選挙に踏み切り、国民の審判を仰ぐことになります。

民自党も改革派と保守派に分裂し、竹上総理や海原官房長官、大滝らが新民自党を結成。テレビ討論や選挙戦では、それぞれの国家観が真正面からぶつかり合います。

個人的に印象に残ったのは、海渡幹事長(演:風吹ジュンさん)の存在です。
劇中では”敵役”として描かれていますが、「最大の同盟国であるアメリカと対立すべきではない」という主張は、現実的に考えれば決して間違いとは言えません。
その”嫌われ役”を見事に演じ切った風吹ジュンさんの存在感は圧巻でした…….!!

特に印象的だったのが、討論番組で投げ掛けられた問いです。

「10人が乗るゴムボートで、1人が感染症を発症した。あなたがリーダーならどうするか。」

候補者4人は、それぞれ異なる答えを示します。

大滝は「全員を助ける方法を考え続ける」。

曽根崎は「感染者を降ろす」。

海渡は「10人全員で運命を共にする」。

そして竹上総理は、

「感染者を降ろすのが正しいのかもしれない。しかし最後まで考え続ける」

……私は、この問いに正解はないと思いました。

誰か一人を犠牲にすれば非難される。全員を救うと言えば理想論だと言われる。
リーダーとは、何を選んでも誰かを失望させてしまう立場なのかもしれません。

私個人としては、最後まで可能性を捨てず考え続けるという竹上総理の姿勢に最も共感しました。海江田もそうだったんじゃないかな……

 

空から真実を見た人々

日本国内では、ジャーナリスト市谷(演:上戸彩さん)が伝えた東京湾海戦の真実が大きな反響を呼び、世論は大きく動きます。

その結果、竹上は再び総理へ返り咲き、曽根崎を官房長官、海原を外交担当へと起用。
一方、保守派の影山は海渡とともに野党として新政権を監視する立場を選びます。

ドラマ版序盤では誓いのお酒を影山だけが飲まなかったので、「後々裏切り者になるという伏線では…?」なんて思っていましたが、あの伏線はここで回収されました。
分裂しながらも、国家を思う気持ちは同じという二人の関係性は印象的でした。

また、大滝率いる鏡水会は新民自党と連立政権を組み、北極海海戦後には海江田と接触し「やまと保険」の創設にも動いていました。
これは今後の世論戦における大きな布石になりそうです。

そして〈やまと〉は北極海を抜け、ついにニューヨークへ向かいます。

しかし、その先のアメリカ海域では、圧倒的な数の艦艇と航空戦力が待ち構えていました。市谷たち報道陣は、この戦いを世界へ伝えるためヘリで現場へ向かいます。

国連会議を認めながら、一方で〈やまと〉の侵入は許さないというベネット大統領の姿勢には、矛盾を感じる部分もあります。
しかし、これこそが外交の現実なのかもしれません。

むしろアメリカとしては、〈やまと〉を東京湾やベーリング海ではなく、自国の海域へ引き込むことで、より自由な作戦展開が可能になります。
援軍を投入することもでき、国際的な批判を抑えながら〈やまと〉を封じ込めることができる。
そう考えれば、ベネット大統領が国連会議への出席を認めながらも、同時に〈やまと〉への警戒を強めた理由も理解できます。

アメリカにとって〈やまと〉は、日本国内で英雄視される存在であっても、自国へ侵入する正体不明の武装勢力です。
さらにアメリカには、9.11同時多発テロという本土攻撃の記憶があります。
だからこそベネット大統領は、「テロリスト」と認定した〈やまと〉を阻止することを最優先したのでしょう。
一方、日本から見れば専守防衛を掲げる〈やまと〉を攻撃するアメリカこそ脅威に映る。

同じ存在でも、立場によって正義は大きく変わる。
この作品は、その複雑さを改めて描いているように感じました。

そして始まったアメリカ海域での戦闘。
空母内の司令部では、徹底した作戦によって〈やまと〉を追い詰めようとする指揮官の姿がありました。
その隣には、東京湾海戦では比較的冷静な判断を見せていたリチャード・ボイス司令官の姿もあります。

しかし、ドラマ版のローガン司令官の時もそうでしたが、なぜかボイス司令官の隣には毎回のように強硬派の人物が配置されますね(笑)
もちろん軍人として任務を遂行しているだけなのですが、冷静な判断をしようとする彼が、いつも板挟みになっているように見えてしまい、なんだか同情してしまいます(^_^;)

アメリカの圧倒的な戦力による攻撃は、本来巻き込まれるはずのない報道陣、市谷たちまでも飲み込みます。

彼女たちは、上空から戦争の現実を目撃することになるのでした。

母の葛藤

市谷はこの戦いへ向かう前、日本に残してきた子どもからメッセージを受け取っていました。

シングルマザーとして子どもを育てながら、全国ネットで賛否両論を巻き起こす発言をし、その直後に戦場へ向かうことになった市谷。

彼女の中では、
「子どもの母親でありたい」という思いと、
「報道記者として、世界に真実を伝えなければならない」という使命が、激しくぶつかっていました。

子どものそばにいたい。
でも、この戦いの行く末を、全世界へ届けたい。

しかし、この二つを同時に叶えることはできません。

もしかしたら、自分の命を失うかもしれない。
今返す言葉が、子どもへの最後のメッセージになるかもしれない。

そう思うほどの極限状態の中で、市谷は返事を返せないまま、戦場へ向かうのでした。

 

”鯨の腹の中”

蟻と象ほどの戦力差を前にしても、〈やまと〉は攻撃どころか反撃すら行いません。

ただひたすらにアクティブソナーを放ち、海江田と乗組員たちの卓越した操艦技術によって、アメリカ軍の攻撃をかわし続けます。

そして入江は、亡き兄が語っていた、
「鯨の腹の中にいるような感覚」
という海江田の操艦技術を、身をもって体験することになります。

アメリカの集中砲火を避けるため、海江田は海面を目指して急浮上。

その角度は、もはや常識では考えられないほどでした。

そして――

 

「いけー!!!!」

 

まるで巨大な鯨が海面から跳ね上がるように、


〈やまと〉は海上へと姿を現したのでした。

 

やまとの勝利

〈やまと〉は見事、アメリカ軍の猛攻を突破しました。

そして、たった一隻で、
司令部のあるアメリカ空母の目前へと到達します。
まさに胸が熱くなる場面です。

しかし、〈やまと〉も無傷ではありません。
艦内には浸水や損傷が広がり、同じ戦法をもう一度繰り返すことは不可能な状態でした。

残された手段は、核を使用すること。

海江田は市谷の「核を所持しているのか」という問いに対し、「YES」と答えていました。
それこそが、アメリカが最も恐れていたことでした。

しかし海江田が放ったものは――

またしても、アクティブソナーでした。

「これではまるで、戦争をしたいのは我々の方ではないか……」

〈やまと〉の徹底した非攻撃の姿勢を前に、ベネット大統領は初めて、
自分たちの中にある無意識の攻撃性に気付きます。

そして一人で部屋を出て深く考えた末、攻撃命令を撤回。
〈やまと〉をニューヨークへ案内するよう指示を出すのでした。

一方、日本から戦いを見守っていた市谷たち報道陣は、空からアメリカ軍の猛攻を撮影していました。

しかし、その記録は米軍によって回収され、世界へ真実を伝えることはできません。

それでも、実際にその光景を目にした人間がいる。3人もです。

市谷たちの存在は、続編でも大きな意味を持つのではないかと感じました。

 

1期(ドラマ版)の考察

最後に、前作であるドラマ版『沈黙の艦隊』について、私なりの解釈を綴らせてください。

なぜ日本政府は、独立国『やまと』を放置せず、あえて手を組もうとしたのか。

1期では、竹上総理率いる民自党が、独立国やまとと同盟を組むこととなりました。

実は竹上総理は、日本を防衛する軍事力は〈独立国やまと〉に任せ、
日本そのものは「軍事力を持たず」して平和にしようと考えていました。

しかし私は、ここにはさらに別の意図もあったと感じるのです。

これは公式設定ではなく、あくまで私個人の考察ですが、
私は「あのまま放置すれば、かつての関東軍のように政府の統制が及ばない存在になってしまう」と考えたのではないか、と感じています。

日本は、満州事変から満州国建国、そして盧溝橋事件を経て支那事変へと拡大していった歴史を経験しました。
当時は日清・日露戦争の勝利体験もあり、軍部、とりわけ陸軍の発言力は非常に強く、多くの国民もそれを支持していました。

戦後、日米は同盟国となりましたが、日本国内には、安全保障をアメリカへ大きく依存する現状や対米関係について複雑な思いを抱く人も少なくありません。
プラザ合意などをめぐっても、「日本の発展が抑えられた」と受け止める見方は現在でも存在します。

そんな中で現れたのが、核を保有する独立国家〈やまと〉と海江田四郎でした。

「核を持つ国ほど国際社会で強い発言力を持つ」という現実を目の当たりにしてきたからこそ、海江田の行動に共感する人々が次第に現れた──
私は、その描写にはそうした国民感情が投影されているように感じました。

しかも海江田は、

だからこそ竹上総理は、海江田をテロリストとして切り離すのではなく、
日本政府の管理・交渉の枠組みに取り込もうとしたのではないでしょうか。

あの短い握手の裏には、「日本人である海江田たちを、政府の預かり知らない存在にはできない」という政治的判断もあったのではないか──
そんなことを考えながら、この作品を観ていました。

さて、そんなドラマ版第1シーズンの続きとなる本作では、アメリカが東京湾で行った大規模な軍事行動が国民に知られることとなり、さらに独立国「やまと」と手を結ぶ決断をした竹上総理が、国民の支持を受けて再び総理大臣に選ばれました。

この決断は、日本にとって「真に自立した国家」への第一歩となるのか。
それとも、国家の統制を離れた軍事組織が暴走した歴史――私が前作の考察で触れた「関東軍の暴走」を思わせる、新たな危機の始まりとなるのか。

3期、非常に楽しみです!!

 

終わりに

『沈黙の艦隊』は、潜水艦同士の戦闘を描いているようで、
実はずっと「国家の判断」と「個人の命」の対比を描いている作品だと感じました。

ちなみに、皆さんの推しは誰ですか?
私は大沢たかおさんのファンクラブに入っているほどの大ファンなのですが、本作では溝口くんも(演:前原滉さん)大好きです〜かっこいい(*ノωノ)

というか海江田役の大沢たかおさん、実は御年57歳なんですよ!
映画の冒頭は、海江田の腕立て伏せシーンから始まってドキドキしました笑
やっぱり筋トレって人間を美しくさせるんですね。

続編は2026年の冬?という情報が出ていますね!今からとっても楽しみです(*´∇`*)

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