映画『雪風 YUKIKAZE』感想綴

映画『雪風 YUKIKAZE』観てきました~!ヽ(;▽;)ノ
大好きな艦の一つである「雪風」と、
まさかの主演・竹野内豊さん(大ファンなんです)というダブルコンボ!!

CMを見て衝撃が走りました……

それからずーっと観に行きたかったのですが、
なかなか予定が立てられず、
やっと予約が取れた9月24日は、実はその翌日で放映終了でした…!危なかった!!

今日は、その感想を綴っていこうと思います!

(※以下、ネタバレを含みますので注意です)

 



 

駆逐艦「雪風」は、駆逐艦時雨と並ぶ「幸運艦」として名高い艦で、
戦後80年が経つ今も高い人気を誇っています。

この映画は「史実に基づいたフィクション」とのことですが、
登場人物たちは、実は歴代の「雪風」艦長たちの人物像をまとめたようなキャラクターとなっており、
セリフや出来事の一つ一つが、実際の艦長たちのエピソードをベースにしている点がとても研究されており、最高でした。

そして、SONY PICTURES制作ということで、
とにかく映像美が素晴らしい……!
やはり、クライマックスである坊ノ岬沖海戦のシーンのクオリティの高さは圧巻でした。

一方で、「戦闘シーンが少なかった」という声も見かけました。
確かに「雪風」は、史実では歴史に残る大海戦のほぼすべてに参戦しています。
しかし、過激なCGはかえって戦争が安っぽく見えてしまうこともありますし、
大日本帝国を象徴する戦艦「大和」と共に戦った坊ノ岬沖海戦をメインに据えた構成は、むしろ妥当だったのではないかと感じました。

この映画が伝えたいのは、戦闘そのものではなかったと思いますからね。

 

正しい戦い方と、正しい人としてのあり方

「雪風」先任伍長の早瀬幸平(演:玉木宏さん)は、映画冒頭の戦闘後シーンから、
またいつ攻撃されるかもわからない戦禍の中で、とにかく兵士を最後の一人まで救助することを大切にしていました。

しかしその後、新しく「雪風」艦長となった寺澤一利(演:竹野内豊さん)に、
「判断を誤るな」と咎められてしまいます。
冒頭シーンでのミッドウェイ海戦において、救助を続行せず早く撤退すべきだったという意味での叱責です。

戦闘下では、いつまた攻撃されるか分かりません。
救助に時間をかけすぎれば、追撃を受けて全滅してしまう可能性も十分あります。
その意味では、寺澤の判断も決して間違っていたわけではなく、むしろ当時の戦場ではそうした判断の方が主流だったのでしょう。

それでも、あの時早瀬が最後の一人まで助けたからこそ、
その“最後の一人”であった井上壮太(演:奥平大兼さん)が、その後「雪風」の水雷員となって再会し、
そして「雪風」の艦内に敵軍の魚雷がはまってしまった際も、
井上のおかげで無事取り除かれました。

助けられた人が、次は助ける側にまわる。

この展開には、なんとも胸が熱くなりました。

 

また、中盤では、艦が撃沈されボートで海を漂流する連合軍兵士たちに対し、
寺澤艦長が攻撃を禁じるシーンがあります。

敬礼をして見逃したというこの日本軍の行動ですが、これは実際にアメリカやイギリス側の記録にも残っている出来事のようです。

似たような行動は、キスカ島撤退作戦で知られる指揮官・木村昌福も行っています。
このような、いわば“武士道精神”とも言える「丸腰の相手を斬るのは恥」という考え方は、実は旧日本陸海軍の教えの根本にも存在していました。

現代では、「戦争の引き金となった」として批判されることも多い旧日本陸海軍の思想教育ですが、
その一方で、この“情け”の精神によって繋がれた命があることもまた、事実なのです。

 

恩人の死

物語の中盤。
井上の恩人である早瀬は、連合国軍の空撃から井上を庇い、即死してしまいます。

その死を象徴するように映し出される、千切れた生々しい右腕。

井上が必死にそれを繋ぎ合わせ、早瀬の蘇生を試みるシーンは本当に切なく、胸に迫るものがあります。

その後の早瀬の水葬の場面で井上が発した、
「先任伍長は、泳ぎが苦手かもしれません」という一言には、思わず胸が締め付けられました。

早瀬は生前、井上に、自分は長野県で生まれ育ったことを語っていました。

海のない環境で育った彼にとって、大海原を走る「雪風」から見える、どこまでも続く青い海の景色は、戦争という極限の状況の中で、
束の間でも心を解放してくれる存在だったのかもしれません。

海に憧れ、海軍に入った彼が旅立つ場所が海だったことは、どこか皮肉にも感じられますが……
早瀬本人の目には、海上での景色はどう映っていたのでしょうか。

こんな最期であってもせめて、あの広い海に還ることを、
ほんの少しだけでも安らぎを感じてくれていたなら、

井上も、そしてスクリーンで号泣していた私も救われます……

 

そして、戦況が悪化するにつれ、寺澤も次々と同窓の仲間を失っていきます。
はじめは、仲間たちの死を追いかけるように、自身の死を覚悟して戦いに挑んでいた寺澤でしたが……

早瀬の姿に触発され、
人を救うことの大切さを知り、「雪風」の艦長として、できる限り全員を救うことに重きを置くようになります。

 

命を奪い合う時代に起きた、命を助けることの尊さ。

これこそが、映画『雪風 YUKIKAZE』の伝えたかったことなのではないかと感じました。

 

大和の沈没

1945年3月17日。天一号作戦が決行されます。

その中の坊ノ岬沖海戦(4月7日)は、
大日本帝国が多額の国費と技術で作り上げた超弩級戦艦「大和」が、
「雪風」含むたった9隻の艦隊で連合国軍に挑んだ大海戦でした。

「雪風」は、その「大和」を護衛しながら戦いに挑みます。

「大和」に乗り、作戦の指揮を務めた伊藤整一海軍大将(演:中井貴一さん)は、
「この国の未来には、必ず若い力が必要になる」と、決戦前夜に病人や怪我人のほか、
多くの若い兵士を本土へ帰しました。

この時の、中井貴一さんの表情……完璧、でした。
残すべきは、若い力。
それを守るために、犠牲となる自分たち。
引き攣った一瞬の笑顔の裏で、その心中を想像させました。

 

天一号作戦を聞かされてから、その戦いに至るまで。
伊藤大将は終始、神妙な、それでいてどこか、
諦めたような表情をしていました。

なぜならこの戦いは、最初から負けと、死が確定していたからです。

――「大和には、一億総特攻の魁となって頂きたい」。

伊藤大将は、参謀長の草鹿龍之介にそう頼まれます。

それは、太平洋、フィリピン、そして沖縄と、
どんどんと日本本土に迫ってきている連合国軍との戦いにおいて、迫り来る国民総玉砕の礎となってほしい、ということだったのかもしれません。

――「死んでくれと、言うのだな?」

実は、草鹿参謀長自身は、この作戦にはずっと反対の立場をとっていました。
しかし、自分のいない間に勝手に決められ、
しかも、江田島海軍兵学校時代の先輩でもある伊藤大将を、納得させろと言われていたのです。

そして伊藤大将も、作戦の成否の観点からもこの戦いは無駄死にであると、ずっと反対していましたが、
参謀長、かつ後輩の草鹿中将の、すべてを飲み込んだ表情を見つめ、了承。
 
「大和」最後の艦長となる、有賀幸作海軍中将(演:田中美央さん)とともに、胸を張って海戦に挑み……

超弩級戦艦「大和」は、明治から続いた連勝大国・大日本帝国を象徴するかのように、
世界一の艦体と主砲が、連合国軍による猛攻で傾斜、爆発、そして……

――沈没しました。

「守る」と誓った沈みゆく「大和」の周囲には、
沈没前に伊藤艦長が退艦を命令した「大和」の乗組員たちが漂流していました。

「雪風」艦長・寺澤は、撤退命令を下す上官に逆らい、
そして乗組員たちも、漂流していた多くの兵士たちの救助に尽力しました。

「寝るな!寝ちゃだめだ!!」

「一人残らず引き上げるぞ!!」

寺澤と井上のこのセリフは、今は亡き戦友であり恩人の早瀬の意思を、
「雪風」乗組員の全員が受け継いでいたことを強く感じさせました。

 

戦後の「雪風」

戦争によって多くの戦艦が失われた日本海軍の中で、ほとんど無傷のまま終戦を迎えた「雪風」は、戦後はアジア各地に残された邦人の引き揚げのために奔走しました。
そして「雪風」の上で、引揚者の中から新たな命も誕生します。

あらゆる激戦に参戦しながらも、その全てを生き抜いた「雪風」。
もしかするとそれは、“日本を救い、復興へと繋ぐ”という使命を天から与えられていたからなのかもしれません。

実際、「雪風」の艦長は、乗組員に
「雪風には幸運の神が宿っている」
と語っていたという逸話も残っています。

その幸運を、自分の番で止めず……
次へと繋いだ人々の縁は、本当に尊いものですね。

その後、「雪風」は引き揚げ活動を終えた後、
日本の賠償艦として中華民国(台湾)へ引き渡され、艦名を「丹陽」と改めて運用、
1970年に退役します。

引退の頃には、日本国内で返還を求める運動も起こり、台湾政府側も返還を検討する姿勢を示したと言われていますが、
台風による損傷などの事情もあり、最終的にはスクラップとして解体されることとなり、とうとう「雪風」の日本への帰還は叶いませんでした。

そもそも賠償艦として引き渡された艦である以上、
日本側から正式に返還を求めることは難しい立場でもありました。
また、当時の国際関係を考えれば、政治的な摩擦を避ける判断もあったのかもしれません。

――しかし。

この艦に乗った人たち、そしてこの艦に関わった人たちが、
「雪風」の信念を継ぐように、
誰かに救われ、そして誰かを救います。

寺澤の3歳だった娘は、その後成長して海上自衛隊に入隊しました。
救助ボートに乗り、豪雨災害の中で屋根の上に避難していた少年と猫を助け出します。
父・寺澤から贈られた花の髪飾りが、とてもよく似合っていました。

日本は戦後、軍の解体を余儀なくされましたが、
現在の自衛隊は日本国内だけでなく、世界各地の紛争地域や災害地域でも活動し、
今も多くの人々を救い続けています。

戦わず、守る。

人を助けるという素晴らしい輪は、現代にも広がり続けているのです。

 

忘れられないワンシーン

終始泣きながらの鑑賞だった私が大号泣したのが、
最後のシーンでした。

 

「おーい!日本!元気かー!!」

 

「雪風」の甲板に立った日本海軍の兵士たちが、スクリーンの向こうの私たちに向かって手を振ります。

 

「頼んだぞー!!」

「任せたからなー!!」

「ずーっと見てるぞー!!!」

  

このシーンこそが、この映画――

いや、すべての反戦映画が、最も伝えようとしていることなのではないかと思いました。

 

当時を生きた人々は、今の日本を、そして今を生きる私たちを、
ずっと見続けているのかもしれません。

自分たちが命と引き換えに守った日本を、
未来を生きる私たちに託したのですから。

 

何度も語られてきた言葉かもしれませんが、
便利で平和な今の私たちの生活は、たった80年前に犠牲となった多くの人々の上に成り立っています。

忘れてしまうのならまだしも、
そもそもその歴史を、知らない人が増えているのではないか……

先人たちへの感謝と共に、
ふとそんなことを考えてしまいました。

 

ふたつの大阪万博

映画の序盤、そして終盤で、戦後から25年が経った1970年、大阪万博の景色を背景に、
水雷員だった井上が、艦長・寺澤へ送った手紙が読み上げられています。

そして戦後80年が経つ2025年の今年も、
大阪万博が開催され、最先端の科学技術が並び、多くの国々のパビリオンが立ち並んでいます。

すべてが破壊し尽くされたかのようだった戦後から、わずか25年で復興を果たした日本。

そして2025年の現在、日本はあの頃よりさらに近代化し、世界でも有数の先進国となりました。ですが――

 

“……そんな時代があった。

そのことさえ忘れなければ、この国は大丈夫です。

日本は、大丈夫です。”

 

井上が寺澤へ綴ったこの言葉のような未来に、
はたして2025年の日本は、本当にたどり着いているだろうか。

どうしても、そう考えてしまう自分がいます。

 

今を生きる私たちは、この言葉に照らして現在の日本を見つめ直し、
理解し、そして必要な反省をしていくことが大切なのではないかと感じました。

そして何より、政治に関わる人々こそ、
この言葉を心に深く刻むべきではないでしょうか。

今も昔も、国民は政治の判断によって大きく運命を左右されてきたのですから。

 

“……たった80年前、海は戦場でした。”

 

この言葉とともに、戦後の復興シーンの後に流れるエンドロールでは、
壮絶な海上戦があったことが嘘のように、
ただ静かな波の音が響いています。

戦争は、もう終わった。

そう思ってしまうほど、穏やかな波の音です。

 

しかし、本当にそうでしょうか。

日本は今こそ平和かもしれませんが、
世界は決して、ずっと平和だったわけではありません。

戦後も世界各地で争いは起こり続けてきました。

そして日本もまた、そうした国際情勢の中で、いつ巻き込まれてもおかしくない状況に置かれてきました。
それは今も、変わらないのだと思います。

 

海に囲まれた日本にとって、
次に訪れるかもしれない戦争の足音もまた、

“波の音”になるのではないでしょうか。

 

もう二度と、あの美しい海の音を荒立てることがないように。

 

またあの悲劇が、日本だけでなく、
どんな国においても繰り返されないように。

 

被害者であり、同時に加害者でもあった歴史を持つ私たち日本人は、
今こそ過去をきちんと学び、他国とも手を取り合いながら、

真の平和へ向かう努力を、続けていかなければならないのだと思います。

 

映画館を出た今も、

「ずーっと見てるからな!」というあの声が、頭から離れません。

いや、きっと、忘れてはいけないのでしょう。

彼らから託された日本であるということを、

私は忘れない。

 

本当に本当に、

とても良い映画でした。

 

終わりに

良い涙活にもなりました……。゚(゚´ω`゚)゚。

また、この映画がきっかけで、新しい推し俳優さんができました!
「雪風」が護衛した戦艦「大和」の最後の艦長、有賀幸作海軍中将役の
田中美央さん!!

優しそうなお顔や雰囲気、そして劇中でのおおらかでいて厳かな雰囲気が、
私の中の有賀幸作海軍中将像にめちゃめちゃ合っていました……!
こ、これが「解釈一致」……!!(実は私、有賀中将の大ファンなのです)

そして、登場人物たちのささやかな日常とともに流れた、Uruさんの主題歌もとっても良いですね!
歌詞に曲調に、そして歌声。
ずーっとリピートしては、今も映画のシーンの一つ一つを思い出します。

なぜ上映期間が短いんだ……全国民が見るべき映画です。というか政治家!!

君らには、この映画を見て感想文4000字を書く必修課題を課したい!!!!

 

そんで私は、勢いで「雪風」の模型(6,600円)を買っちまいました……
1/350スケールなので、全長338mm(約34cm)です(白目)
スペース無いのに……

でもいつかは戦艦の模型が欲しいと思っていたので、とりあえず完成を頑張ります
┌(; ̄◇ ̄)┘

有賀海軍中将についての記事は、また別で投稿しますね!
あと、買って終わりになりそうな「雪風」模型の経過報告も……

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